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聖書研究会 「詩篇75編、79編」

巣鴨教会聖書研究会 詩編75編79編

2020年2月16日 渡辺善忠

 

 今月はまだ学んでいない75編と79編を学びます。

 

詩編75編

 73〜74編で学びましたように、「アサフ」(1節)は研鑽を積んだ聖歌隊のような存在であったため、73編〜83編はエルサレム神殿の祭儀の時に音楽の訓練を受けた人々が歌っていたと考えられています。

神が全地の審判者として裁きを行うことが75編の主題です。この詩は神へ感謝を捧げる一般的な賛美の歌で始まり(2節)、「わたしは必ず時を選び、公平な裁きを行う」(3節)という御言葉には全体の主題が示されています。続く3〜10節では神が審判者であることが歌われているため、この部分は古い原詩に基づいており、詩編が編纂された時に2節が加えられて現在の形に至ったと考えられています。

 原詩が歌われた背景には、二つの可能性があります。一つめの可能性は、古代のイスラエルが近隣諸国から虐げられた出来事です。イスラエルは紀元前922年に南北に分裂した後に、紀元前721年に北王国がアッシリアによって、紀元前587年に南王国が新バビロニア帝国によって滅ぼされました。この時代に他の国々もイスラエルを攻撃したことがあったため、「驕る者」(5節)、「お前たちの角」(6節)という御言葉には、他国の人々が高ぶっていることが示されており、「この地の逆らう者は皆、それを飲み」(9節)という御言葉には、イスラエルを攻撃している他の国々を神が裁かれる御業が示されています。

 もう一つの可能性は、イスラエルの中で不信仰な人々が驕り高ぶっていたことです。イスラエルが他国から攻撃されて混乱していた時期には、神に抗う人々が多くあらわれたと伝えられています。国が混乱していた時期は裁判を開くことが難しく、神から離れた人々は「角を高くそびやかして」いました(6節)。このため75編は、信仰者を貶める人々を神が裁かれることを告げる歌であった可能性もあります。

 二つの背景はいずれも、私たちにとって大切な意味があります。なぜなら国々に争いがある時には、軍事力に頼るのではなく、神の公平な裁きを祈り求めるべきであるからです。また私たちが様々な争いに直面する時には、自らの罪を振り返り、心を低くして神の裁きを祈り求めることが大切であるからです。この意味を心に刻み、全てにおいて公平な方である神に信頼する者とされるように祈り合いましょう。

 

詩編79編

 「神よ、異国の民が〜あなたの聖なる神殿を汚し、エルサレムを瓦礫の山としました」(1節)という御言葉には、新バビロニア帝国が紀元前587年にエルサレム神殿を破壊した時の様子が具体的に伝えられています。神殿が破壊された時の様子は74編にも伝えられており、共通した内容が多いため、二つの詩編の原詩は、エルサレム神殿が破壊された直後の嘆きの歌であったと考えられています。

 79編の全体の主題は、共同体が受けた苦難を信仰の視点で受け入れることです。イスラエルの人々は、北王国に続けて南王国が滅ぼされた出来事について自問自答を繰り返した結果、自らの罪によって国が滅ぼされてしまったという理解に至りました。「主よ、いつまで続くのでしょう。あなたは永久に憤っておられるのでしょうか」(5節)という御言葉には、国が滅ぼされた時に、イスラエルの人々が筆舌に尽くし難い苦しみを味わっていたことが示されています。このような時期を経た後に、イスラエルの人々は神に救いを求めるようになりました。「御怒りを注いでください。あなたを知ろうとしない異国の民の上に」(6節)という御言葉には、神の怒りの矛先を自分たちから敵へ向けて欲しいという切なる願いが示されています。

 また「彼らの神はどこにいる」(10節)という言葉は、42編にも伝えられています。42編は、イスラエルの人々が新バビロニア帝国で捕虜とされていた時代に、周りの人々から嘲りを受けたことを背景に記されました。このため79編は、エルサレム神殿が破壊された直後の嘆きの歌と、イスラエルの人々が捕虜とされていた時代の歌が結びついて現在の形に至ったと考えられています。

 このような歴史は、私たちにも大切な意味があります。なぜなら私たちは、教会としても一人の信仰者としても、全てが崩れ去るような出来事に直面し、深い苦しみが続くことがあるからです。そのような時には、イスラエルの人々が深い嘆きを経て神に立ち帰り、捕虜から解放されることを祈り求めた詩編の言葉を思い起こして、主日礼拝で与えられる聖書の御言葉と聖霊に導かれて罪を悔い改め、神の御許へ繰り返し立ち帰りつつ教会生活を歩み続けてまいりたいと思います。

author:sugamo-church, category:聖書研究, 21:19
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