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聖書研究会 「詩篇66編、67編」

巣鴨教会聖書研究会 詩編66編67

2019年11月10日 渡辺善忠

 

 今月はまだ学んでいない66編と67編を学びます。

 

詩編66編

 この詩編は、神の救いの御業を伝える前半部(1〜12節)と、祭儀(礼拝)において神に感謝を捧げる後半部(13〜20節)から成っています。文体や他の詩編との比較から、「我ら」という言葉が主語である前半部は神殿の祭儀や会堂の礼拝で用いられていた式文であり、「わたしは」という言葉が主語である後半部は、個人的な請願の歌であったと言われています。この詩編は明瞭に二つの部分に分かれているため、二つの原詩がバビロニア捕囚時代以降(紀元後6世紀後半)に編纂されたと考えられています。

 前半部の中の「神は海を変えて乾いた地とされた。人は大河であったところを歩いて渡った」(6節)という御言葉には、出エジプトの際に、神がイスラエルの人々のために紅海に道を開き、パレスチナへ導いた御業が示されています。また「あなたは我らを網に追い込み、我らの腰に枷をはめ、人が我らを駆り立てることを許された」(11〜12節)という御言葉には、新バビロニア帝国がイスラエルを滅ぼし、多くの人々が捕虜としてバビロンへ連れて行かれた苦難の出来事が示されています。二つの歴史的な背景には時代的な隔たりがあるため、前半部は神の救いの歴史を伝える歌として古くから歌われていたと考えられています。

 また後半部の中の、「わたしは献げ物を携えて神殿に入り、満願の献げ物をささげます」(13節)、「肥えた獣をささげ、香りと共に雄羊を、雄山羊と共に雄牛を焼き尽くしてささげます」(15節)という御言葉には、神殿の祭儀の様子が具体的に伝えられています。前半部の主語は「我ら」であり後半部の主語は「わたし」であるため、神殿では、まず共同体(我ら)が前半部の歌による祭儀を行った後に、後半の歌を用いて個人的(わたし)な祭儀が捧げられた可能性もあります。

 このような方法で祭儀が行われたことは、私たちにも身近な意味があります。なぜなら私たちの教会では主日礼拝を捧げた後に、祈祷会において個々の課題を共有し、祈り合うことがあるからです。プロテスタント教会では他の方々のために執り成しの祈りをする習慣が受け継がれていることをおぼえて、主日礼拝を土台としてお互いのために祈り合うことの大切さを心に留めたいと思います。

 

詩編67編

 この詩編の冒頭に収められている「神がわたしたちを憐れみ、祝福し、御顔の輝きを、わたしたちに向けてくださいますように」(2節)という御言葉は、モーセの片腕として歩んだ祭司アロンの祝福の言葉と似ています(民数記6章24〜26節)。アロンの祝福の言葉は、旧約時代から現代に至るまでユダヤ教と教会の礼拝に受け継がれているため、この御言葉は旧約と新約を結ぶ帯であると言えましょう。

 祝福の言葉に続く感謝の歌は、4節と6節に二回繰り返し収められています。この歌は神殿の祭儀で様々な詩編と共に歌われていた可能性があるため、古い原詩に遡ると言われています。これに対して「すべての民」(3、4、6節)、「諸国の民」(5節)という御言葉は、イスラエルが捕囚から解放された後に多く見られる表現です。このため67編全体は、古い原詩と新しい歌が結び合わされ、第二神殿で歌われるために編纂されて現在の形に至ったと考えられています。

 このような背景は、「大地は作物を実らせました」(7節)という御言葉にも示されています。なぜなら作物が実るためには、一つの場所に定住して農作業をしなければならないため、この御言葉には、イスラエルの人々が捕囚から解放されてパレスチナ地方へ戻り、落ち着いた生活を営んでいた状況が示されているからです。このような時代背景は、「地の果てに至るまで、すべてのものが神を畏れ敬いますように」(8節)という御言葉にも示されています。なぜならこの御言葉には、信仰的にも社会的にも安定した生活をしていた人々が、伝道の御業に勤しむようになったことが示されているからです。

 上記の背景は、私たちにも身近な意味があります。なぜなら私たちも、古くから受け継がれている祝福の言葉のような定型句や詩編を礼拝で用いているからです。このような御言葉や歌は、旧約時代から現在に至るまで積み上げられてきた信仰の所産です。また私たちは、確かな信仰生活を土台として、伝道の働きに勤しむ者とされています。この意味をおぼえて、私たちの信仰が旧約時代をルーツとしていることを心に留めると共に、神の豊かな祝福に応える感謝の礼拝を捧げながら教会生活を歩み続けてまいりましょう。

author:sugamo-church, category:聖書研究, 21:15
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