RSS | ATOM | SEARCH         
聖書研究会 「詩編59編、60編」

巣鴨教会聖書研究会 詩編59編60

2019年7月21日 渡辺善忠

 

 今月はまだ学んでいない59編と60編を学びます。

 

詩編59編

 前書きの「指揮者によって」、「『滅ぼさないでください』に合わせて」という御言葉は57〜59編に記されているため、この三編は指揮者を必要とする多くの人々によって、「滅ぼさないでください」という言葉に付された定まった旋律で歌われていたと考えられています。また57編と同様に59編の前書きには、サウルがダビデを殺そうとしていた時の歌と記されていますが、「国々を罰してください」(6節)、「神は〜地の果てまでも支配する方であることを」(14節)という御言葉には、この詩が他国との戦いを背景に歌われていたことが示されています。この意味は「犬」という御言葉にも示されています。なぜなら「犬」という言葉は、他宗教の国を蔑む意味があるからです。このため59編も、ダビデをはじめとする古代の信仰者が苦難の中で神に救いを祈り求めた歌が発展して共同体の詩に至ったと考えられています。

 またこの詩編には、「砦の塔」という御言葉が重ねて歌われています(10、17節)。古代のイスラエルはカナンに定着しつつあった時期に、自分たちの町を守るために砦を築きました。イスラエルの各地に砦が築かれ始めたのは、イスラエルが王国として統一された紀元前10世紀前後でした。エルサレムの第一神殿はこの時期に築かれたため、この詩編の原詩は第一神殿が建てられた時期に遡る可能性があります。

 さらに、この詩編で歌われている災いの描写(4、7〜8、15〜16節)や、自分の無実を神に申し述べる言葉(4〜5節)は、時と場を越えて全ての共同体に通じる意味があります。なぜなら私たちは、教会としても一般的な交わりでも、自分におぼえがない困難に直面する時に、神に対して潔白を申し立てることがあるからです。また私たちは一人の信仰者としても、周りに対して申し開きが全く出来ない状況の中で、神のみに無実を叫ぶこともあるのではないでしょうか。このため59編の御言葉は、いわれのない災いがふりかかっている全ての人々への励ましと慰めの意味があると言われています。

 この意味をおぼえて、教会としても一人の信仰者としても、思い掛けない苦難や悩みに直面する時には、「砦の塔」である神が私たちを守り導いておられる御業に信頼しつつ、59編の御言葉に導かれて、神をほめたたえる信仰生活を歩み続けてまいりたいと思います(10〜11、18節)。

 

詩編60編

 60編の前書きに記されている内容は、57〜59編と大きく異なっているため、この詩の原詩は前の三編とは違うグループに属していたと考えられています。また「包囲された町」(11節)、「神よ、あなたは、我らと共に出陣してくださらないのか」(12節)という御言葉には、古代のイスラエルが他国との戦いに負けたことが示されています。このような背景があるため、60編の原詩は、イスラエルが戦争に負けて苦難の中を歩んでいた時期の歌であったと考えられています。

 士師記には「デボラはバラクに言った。『立ちなさい。主が、シセラをあなたの手にお渡しになる日が来ました。主が、あなたに先だって出て行かれたではありませんか』」と記されています。この御言葉には、カナン軍の指導者シセラが率いていた戦いの時に、神がイスラエルの指導者バラクよりも先に出陣したことが示されています(士師記4章14〜15節)。この御言葉に示されているように、古代においては、神が共におられるかどうかは戦争の勝敗に関わることでした。民数記13〜14章にも同じ内容が記されているため、神が戦争に伴っておられることは古代のイスラエルにとって切実な問題であったと考えられています。

また「ダビデが〜討ち取ったとき」(1節)という御言葉にはダビデが戦いに長けていたことが示されており、8〜10節の地名にはダビデが広い領地を治めていたことが示されています。この内容は12節と違うため、60編の原詩には、ダビデ以外の指導者が戦いに負けた出来事が背景にあると考えられています。

 このように60編全体は古代の戦争を背景に歌われた詩ですが、「戦い」という御言葉には、戦争や他者との争いという意味だけでなく、「罪との戦い」、「信仰を守るための戦い」、「死との戦い」という広い内容も象徴されています。この意味に照らして考えますと、古代のイスラエルの人々が、「神が先に出陣して下さる戦いには勝利する」と理解していたことは、私たちに先立って歩んでおられる神に信頼することに通じる意味があります。この意味を心に留めて、日常の様々な「戦い」に直面する中で、神が私たちに先立って「出陣して」下さり、私たちの歩みを守り導いておられる恵みに信頼する者とされるように祈り合いながら、教会生活を歩み続けてまいりましょう。

author:sugamo-church, category:聖書研究, 15:00
comments(0), -, pookmark