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聖書研究会「詩編28、76編」

巣鴨教会聖書研究会 詩編28編、76

2017年7月16日 渡辺善忠

 

詩編28編(7月16日)

 7月〜8月は聖書の御言葉に基づいて洗礼について学びますので、16日は、救い主イエスの働きを預言する「主は油注がれた者の力、その砦、救い。お救いください、あなたの民を」(8〜9節)という御言葉が含まれている28編を交読致します。

 28編の御言葉には、「わたし」という一人称単数形が多く用いられています。また「至聖所に向かって手を上げ」(2節)という御言葉には、この詩編が神殿の祈祷文として用いられていたことが示されています。これらの御言葉が収められているため、28編は元々、神殿で個人的な祈願を行う時に用いられていたと考えられています。

また「神に逆らう者、悪を行う者」(3節)という御言葉には、イスラエルの中に不信仰な者がいたことが示されています。さらに、「彼らは仲間に向かって平和を口にしますが、心には悪意を抱いています」(3節)という御言葉には、不信仰な人々が詩人(或いは祈祷請願者)と同じ共同体で、表面的には良き交わりを保っていたことが窺えます。このような状況が示されているため、この詩編は、公の祭儀よりも、私的な請願を行う時に用いられていた可能性が高いと言われています。

 このような背景に対して、「お救いください、あなたの民を」(9節)という祈りの言葉は、共同体全体(イスラエル)のための祈りであるため、この詩は、個人的な願いから広い意味へ発展したと考えられています。このことは、私たちにも大切な意味があります。なぜなら洗礼は、個人の救いだけにとどまらず、教会全体の救いに関わる礼式であるからです。この意味をおぼえて、私たちが「教会」という共同体として神の救いの御業にあずかっていることを心に留めながら28編を交読致しましょう。

 

詩編76編(7月23日)

 「地の貧しい人をすべて救われる」(10節)という御言葉には、神が全ての人々を救いへ招いておられる御業が示されているため、23日はこの詩編を交読致します。

 前口上に指定されている「指揮者によって。伴奏付き」という御言葉には、この詩編が、指揮者と伴奏を必要とする多くの人々によって歌われていたことが示されています。また2〜7節の御言葉には、古代のイスラエルが戦乱の中を歩んでいた状況が示されています。このため76編は、戦乱の歴史を伝える素朴な詩歌が発展し、第一神殿〜第二神殿の大掛かりな祭儀で用いられるに至ったと考えられています。

 このような背景は、「神は裁きを行うために立ち上がり、地の貧しい人をすべて救われる」(10節)という御言葉にも示されています。なぜならこの御言葉には、神が、イスラエルに敵対する国々を滅ぼすことに加えて、イスラエルを超えて救いの御業をなさる意味が示されているからです。紀元前6世紀にイスラエルが滅ぼされた前後の時期には、パレスチナ地方から他の地域に逃げた人々がいたため、この御言葉には、イスラエルの人々が広い地域に散らされた状況が示されていると考えられています。

 このような背景は、教会の歴史にも関わりがあります。なぜなら教会は、初代教会から二世代目の時代に、ローマ帝国の迫害によって多くの人々が広い地域へ散らされた出来事によって広く発展したからです。このような歴史を経て、現在は世界の全ての地域に教会が建てられており、私たちもその末席に連なっています。この意味をおぼえて、神が「地の貧しい人をすべて救われる」ために、教会としても一人の信仰者としても私たちを用いておられる御業を心に留めながら、76編を交読致しましょう。

author:sugamo-church, category:聖書研究, 18:00
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